昔は良かったと感じてしまう心理的理由

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昔はよかったという人は、学生時代に異性にモテていたり恵まれた日々を送って、きっと、いいことがあったのだろう。 しかし、本当は、どの時代も一長一短なのである。 例えば、年配の方がよく「昔はよかった」というが、その人が暮らした昔とは、 現在に比べれば貧しく、苦労する時代なのだから、いい時代なわけがない。 休みもなく、ゆとりもなく、モーレツ社員や企業戦士と呼ばれ、そんなに豊かでもなく、 落ち着きのな時代であった。つまり、昔という時代は、そんなにいい時代などではなかったはずである。 恐らく、今の時代の閉塞感や不安感から「昔はよかった」と心理的に思ってしなうのではないだろうか。 さらに、当時、いくら生きていくうえで大変で危険に満ちていたとしても、それはすでに過ぎ去ったことだから、 今の自分にとっては何の脅威でもなく、それが今となっては「よく乗り切った」という感慨の心理につながる。 人によっては、そういう嫌いなことばかり覚えていて、思い出したくもないという人もいる。 しかし、大半の人は、嫌なことを忘れて、好きなことだけ覚えているという性質がある。 いい思い出は繰り返し思い出して、喜びを感じようとする。 その結果、記憶の中でいいことの方が勝って、それだけが頭の中に残ることになる。 「隣の芝は青く見える」「無いものねだり」なども昔はよかったと考えてしまうことと似たような心理状況である。 男と女の恋愛でも、元カレや元カノの事が忘れられず、結婚した後も、あの頃はよかったなんて 考えている夫婦も沢山いることだろう。 それも、過去の男や女の恋愛で良かった部分だけを思い出しているに過ぎず、実際のところ本当に良いか悪いか、 人間の記憶は非常に曖昧なのである。
「昔はよかったね、昔は」と説明し始めれば、その時代を知らない若者に対して圧倒的に優位に立てるという利点がある。 相手が生まれていなかった時代の話をすれば、「昔はこうだった」「ウチの会社はこうだった」と説明できるのは自分だけである。 昔はよかったと訓示するのには、そういう快感もある。 そして、過ぎたことは安心して話せる。食料が無くて、昼の弁当も持って行けず、 「いつも腹を減らしていた」時代がいいわけではない。それでも昔が良かったと思えるのは、 いいとこどりをしているのである。 昔を懐かしむ傾向が強い人は、今の状況、恋愛、立場、待遇に不満な人が多い。 「昔はよかった」と思ったら、今、何に心理的な不満があるのか考えると何かが出てくる。 そして、その原因をつきとめ、その解決策を見出すように前向きに努力するのが良策だろう。






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