深層心理が表れるのは、話題の内容だけではない。
その展開の仕方にも注目する必要がある。
私たちが話していて、最も嫌な思いをし、好意的になれないのは、
会議などの席で、他の人が話しているのもかまわず、
興味の無いしぐさや態度のサインを出したり、
強引に割り込んで、まったく無関係の話題を持ち出す人である。
在庫管理について話している席で、突然、「ああ、そうだ。きみ、明日のミーティングは中止だ。
ワシはゴルフへ行くからな」などと言い出して、秘書をあわてさせるワンマン社長などが、この例である。
こういう人は、支配欲や自己顕示欲が強く、相手を無視してまで、一人優位に立ちたがるのである。
当然相手に対する思いやりに欠けるわけで、こういうタイプの男女はモテないし、
決してチームワークは取れないとみてよい。
支配欲、自己顕示欲の強さは、これ以外にも、自分でその場の話題をどんどん作っていくタイプの人にも見られる。
いわば、他人に主導権をとられることを嫌い、あくまで優位に立ちたがるのである。
このことは、外国人と商談などをする機会の多いビジネスマンの体験談を聞くとよくわかる。
あまり語学に自信が無いからと、こちらから話題を出し渋ったりすると、相手はまったく自分のぺーすで
どんどんと話題を持ち出してくる。ヒヤリングに夢中ンなっているうちに、話題は次々と変わっていって、
結局すべては相手の思うままに終わってしまうというのである。
商談などは、より有利な結果を生み出さねばならないのだから、話題をリードされてしまっては負けになる。
また、話題が話しているうちにどんどん変わるのはよいが、それらがまったく脈絡がなく、あそこと思えばまたこちらという
具合に、転々と変わっていく場合は、聞いている方が面喰ってしまう。よく躁病の患者が、躁の状態になると、
リンカーンの話が出た途端、ただ音が似ているからという理由だけで、カンカラカンの話へ転嫁していくなどのことがあり、
これを精神医学上の用語で「意相奔逸」と呼んでいる。これは病的な場合だが、普通の人でも、話題がポンポンと脈絡なしに
良く変わるのは、頭の中で思考がまとまらず、支離滅裂になっているためである。
このタイプの人は、話題が豊富というよりは論理的に思考の整理ができていないのだ。
・恋愛では話し上手よりも聞き上手がモテる
男と女が恋愛を始めるためには、相手に興味を持ってさらに、相手からも興味を持たれる必要がある。
人は自分の感情を打ち明けたり話したりした人を好きになる傾向がある。
だから、自分から自慢話や自己アピールを繰り返したくなるのが男心や女心だが、実際は
自分の話をするよりも、相手から好きなことや趣味の話などを聞きだす方が好印象につながる。
中には、自らは意識的に話題を持ち出さず、相手の話題につねに追随する傾向を持つ人もいる。
優秀なインタビュアーなどになると、これに加えて、相手の持ち出した話題を拡大する手伝いをし、
その結果、相手はますます自分の知識、情報を引き出されることになる。インタビュアーなどは、いわば対話のプロなのだけれども、
一般人の中にも、こうした俗にいう聞き上手の人は多い。
こういうタイプの人は男も女も気を許して話すことが容易であり安心感がある。
だから、結果として恋愛面は有利モテモテであり、恋人に不自由しない。性格的に見て、
他人に対する理解が深く、寛容で、本当の意味での優しさを持っているといえるだろう。