ドアインザフェイスとは相手に対して1回の提案で諦めることなく、 2回、3回目の提案を承諾させることを目的とした心理学テクニックである。 似たようなものにフットインザドアという心理テクニックがある。 これとは正反対のものである。フットインザドアは初めに 小さな要求をして、それを受諾させることで、次の要求をも 飲ませるような雰囲気や心理状況を作る出す事である。人は 一度許して心の中に侵入されると、意志が弱い性格の優しい人の場合、 なかなかキッパリと断ることが出来ない。それを利用した心理テクニックである。 逆にドアインザフェイスは、相手が拒否したくなるような強烈なインパクトのある お願いを初めにする。すると相手は当然要求を断る。そしたら 次に、初めに挙げた提案よりも負担感を和らげた要求をする。すると 相手は心理的に断りきれずに要求をのみやすくなる。 初めにプレッシャーのかかる依頼をすることで、成功確率が上がる。 人は断ることで罪悪感を持ち、拒否するという自分の行為に心理的に苦痛を感じる、 その感情エネルギーが増幅されると、相手に何か良くしてあげたいと 心理的に思ってしまうのである。
ドアインザフェイスの心理テクニックは男と女の恋愛場面においても応用する事ができる。
まず初めに、男が「今度うちの家でデートしない?」と誘うと
大抵の女性は「いきなりお家は怖いから無理」と断られるだろう。
しかし、その断ったという心理的なダメージは相手には効いている。
断ったことによって、次の機会には「私は親切な人間」ということを
相手に伝えたいと思っている。これは情けにも近い感情なのかもしれない。
今度はしばらくして同じ男がまた、女性にアプローチするとき
「どこか繁華街や街中で食事でも行こうか」と誘うと、女性は
「一度断ったし、一回ぐらい誘いに乗ってあげようかな」とオーケーしてしまう。
これがドアインザフェイスの恋愛場面での使い方である。
初めに負担が大きめの要求をすることで、
次の小さな要求を通しやすくなる。
ビジネスでは、値切りの手法としても使われているものである。
初めに、明らかに安すぎるor高すぎる値段を相手に吹っかけて、
徐々に交渉を重ねて値段を思い通りに動かしていくというものだ。
これは客と店主の腕前や経験によって得をするか損をするかが決まってくる。
謙虚で一歩後ろへ引きながらヘコヘコと物を頼むよりも、
多少強引に頼んだ方がうまく行きやすい。
恋愛やデートの誘い、商売も同じである。日本は謙虚すぎるが故に
損をしやすい性質を持っている。相手を陥れるという目的ではないが、
優しいという特性は、人に入り込む隙を与えているも同然だ。
それは仕事においては欠点かもしれないが、恋愛においては、
多少隙があるわがままで天真爛漫なタイプの性格の人はモテやすいだろう。
世の中や人間心理は、引っ込み思案で喋るのが下手な人よりも、
押せ押せで社交的、人に要求する人の方が得をしやすいようにできている。