人間はどのような人でも、自分から円状や楕円状のタマゴ型の心理的な 見えない領域を持っている。これを対人心理学でパーソナルスペースという。 性格により個人差もあるが、 男性はタマゴ型が多く、前と後ろにパーソナルペースが広く。 女性は円状の場合が多い。 この領域は自分の精神的な縄張りであり、 この領域内に侵入されると、縄張り意識が強い人だとイライラして 怒りの感情を露にする人もいある。また、 異性がこの領域内に侵入すると、緊張して意識するようになる。 即ち、好きな男や女へのパーソナルスペースへの侵入は 恋愛対象として意識されやすくなる結果となる。 人は、同性同士の縄張り侵害に対しては厳格で、目をぎらつかせたり して、威嚇行動を取ることもあるが、異性のパーソナルスペース侵入に 大しては寛容で受け入れるところがある。つまり、気になる人や 好きな人にアプローチする時は物理的に相手に近づく事が、精神的にも 身体的にも恋愛面においても心理的な距離を縮める事に繋がる。 朝早くや夜遅くの通勤電車、満員電車では多くの人が 密着して込み合う。これは多大なストレス状況である。 これは人と人が格闘している時と同等のストレスのプレッシャーが 掛かっていると言われている。その原因は 満員電車内では人間同士のパーソナルスペースを、大量の赤の他人に侵害されているからである。 それによって、緊張感や険悪なムードが生まれる。 さらに残業などの仕事疲れから、サラリーマンなどは 余計に電車内でピリピリした雰囲気を醸し出している というわけだ。
パーソナルスペースには、位置によって関係の順位付けのようなものがある。
45cm以内は親密関係で恋人や家族、親友など、身体的接触が簡単に行える距離。
45〜120cmは個人的関係で普通の友達や知り合いと個人的な会話を交わす距離。
120〜360cmは社交的関係で仕事場の同僚や上司と一緒に仕事をする時の距離。
360cm以上は公式的関係で公的な人物と公式の場で対面する時の距離。
男女のカップルは密接距離でいる場合が多く。容易に身体接触が可能である。
また、さらに仲が深い場合はマイナスの距離へと到達する。
それ以外はお互いの距離が離れるにつれて、関係が希薄化していくのが理解できる。
これらの心理は恋愛関係や仕事、ビジネス関係でも応用できる。
例えば、ビジネスの場では、営業活動をしている時、名刺を交換し合う瞬間が
必ずと言っていいほど生まれる。その時に、一歩相手の目の前に踏み込んで
名刺を渡すと印象がまったく変わるという。積極的、情熱的、親近感
といったプラスのイメージがたった一歩踏み込むだけで印象付けられるという。
離れた位置で名刺を渡されてもどこか他人行儀で、親交を深めたいと
感じられないのだろう。また、恋愛においてもそうである。
近い距離で会話をしたり見つめ合うのと、遠い距離で視線を注ぐのでは、まったく
違う。モテる男もモテる女も、異性には普通の人以上に気軽に近づく。
そして相手に恋愛対象として意識させるのである。
これは性格の差にも表れる。パーソナルスペースが狭い人と広い人というのが
存在する。パーソナルスペースが狭い人は、外向的、社交的で明るく活発な性格、
だから人との身体接触に慣れているので、人に近づいても対して緊張しない。
だからパーソナルスペースが狭い。逆にパーソナルスペースが
広い人は、内向的で内気、消極的で恥ずかしがり屋などシャイな性格タイプだと
広くなる。
また、このパーソナルスペースは所有物に対しても働く心理である。
男の持ち物を女に貸す事は、パーソナルスペースへの侵入に当たる。
家デートをした時に、何でも自由に物を触らせてくれたり、
引き出しを開けてもよいと許可されたなら、それは相当親密な証で
サインとなる。
人間関係は近づかなければ始まらない、まず目と目で見つめあい、
お互いに好意の感触を確かめ、次に少しはなれた距離から会話をして
さらにお互いの好意や愛情を確認、その後さらに密接距離に近づき、
ボディタッチや体を触ってマッサージしてあげる身体接触による愛情表現の段階へと進展していく。
つまり、一歩相手に踏み込むことで、この過程を一気に
スキップして短縮することができるのだ。モテる男もモテる女も
相手に異様なほど近づいている場合が多い。それは意図的にか
無意識かはわからないが、パーソナルスペース、縄張り意識の中に
入る事が、相手から恋の対象として意識され、好かれるモテる要素と
なって、好感度をアップさせているのだ。