人に同調行動を起こさせる人数は3人である。 あなたが、路上に立ち止まって上を見ながら、 これから訪問するビルを探しているとしよう。 その時、あなたのそばを通り過ぎていく人に注意を向けると、 面白いことがわかる。 何人かの人は、あなたの見ている方角をチラリと見上げ視線を注ぐ。 「何があるんだろう」と立ち止まって見る人もいるかもしれない。 アメリカの心理学者ミリグラムは、同じようなことを 繁華街で心理学実験として行っている。 すると、ビルを見上げる人(サクラ)の人数と、 立ち止まる人の割合との関連がはっきり出た。 男でも女でも見上げる人が2〜3人になると、 見上げる人、立ち止まって見上げる通行人が急速に増加する。 5人以上にもなると、実に8割の人がサクラにつられて同様の行動をとったのだ。 他の人と同じしぐさや態度、行動をとる同調性を、 多くの人が持っていること、それは、人数が多い程 その効果が強まることがよく理解できる。 そして、一般的には3人という数が分岐点のようである。 他の同調性を調べる心理学実験でも、3人揃うと同調行動が 起きやすいことがわかっている。 料理店の前で待っている人でいえば、一人だと「たまたまそこにいる」 と感じる。2人だと「二人連れか」と考える。ところが 3人だと「もしかして、美味しいから並んでいるのかな」と思いやすい。 3人だと、三人のグループというより、無関係の三人が待っていると 感じるという理由である。 行列に大勢並んでいるのは一般的だが、並んでいる人が 二人なのに並ぶ人は、同調性特別に強い人ということができる。 多数意見に左右されやすく、一人だけ目立つことを極端に嫌う。 場合によっては、自分の好意や意見を押し曲げてまで人に合わせるような人である。 反対に5人以上の比較的長い行列ができているのに、 まったく関心を示さない人は、他人に対する興味の薄い 内向的性格の人と思える。 不安や緊張など何か強い感情にとらわれているときは、他に 関心を向ける余裕が無いので、やはり行列に並ぶことはない。 男と女の恋愛心理にもこの法則は応用されている。 ある女性が一人の男性をカッコイイと言う時よりも、 3人の女性がイケメンだと言う方がよりモテる効果が上がる。 その最も典型的なのはジャニーズなどの男性グループの歌手や芸能人だろう。 歌手ユニットのファンが増える仕組みはサクラで客寄せする心理状態と良く似ているものなのだ。