世の中の大半の人は、好きなってくれれば好きになり、
嫌われれば嫌いになるという好意の互恵性を原則的な心理能力として本能的、
遺伝子レベルで組み込まれている。愛を告白されれば、初めは
興味関心がまったく脳内に存在しなかった相手であっても、
いつの間にか相手の事が気になって仕方なくなってしまうのだ恋愛心理の常である。
これはまさに標準的、正攻法的な男女の切り崩し方である。
それに対して心理的リアクタンス(心理的反発)、は相手から愛情や行動を
強制されると反対の意見や行為をしたくなるという天邪鬼的な
要素を指している。例えば、男女のパーティや、アイドルグループなどで
どの娘が可愛い、イケメンだという話になったとする。
そこで一人の人が「この女の子はオススメで大好きだ、
なぜなら容姿が可愛いしスタイルも抜群で声も女声で高く心地よい。
お前もこの子の歌のCDを購入して聴いてみろよ!」なんて
散々どこが良いのか長所を述べられた挙句に商品をお勧めされたらどうだろうか。
「コイツの推奨するもんなんて何が何でも買ってやるか」といった感想を誰しもが
抱いてしまう。これこそが心理的リアクタンスである。
高圧力な説得を繰り返しされると自分の自由が無くなり縛られたような感覚に
陥る。それを解消するための代替行動として、説得者と正反対の思想や言動、態度を取る。
これは心理的な無意識の作用が働いているので止めようがない衝動である。
勉強をしようと思った時に、両親から、「ヒマそうにしてるんだから勉強でもしたら
、英語でもやりなさい、」などと言われたら、やる気を無くし
勉強意欲がまったく失せてしまう。このような一見正当で確かな指令であっても、
家庭内のちょっとした言葉に子供の成長を妨げるものがあったりするもだ。
子供は放っておけば勉強をするし何かしらの活動もする。
神童から凡人に格下げさせてしまうのは他でもない大部分の影響は父親や母親の存在なのだ。
この心理的リアクタンスは恋愛場面でも応用できることがある。
「好きだ、美人だ」と言われ慣れているモテる女の子や、
ヘソ曲がりの男性で追う恋が好きなタイプの男性などは、
相手から「嫌い」と言われると一般的な性格の人とは違い、逆に恋の炎がメラメラと燃え上がる時がある。
女性の場合はいつもは可愛いと褒められるのに、常人と違う反応をする人に
ちょっとしたイラ立ちが沸き、ライバル視したり敵視するが、それが興味や関心となって自我関与が高まり、やがて
恋心に繋がることがある。男性の場合は
稀に冷たい態度やツンとした態度で嫌い嫌いと言われると、キュンと胸が締め付けられ、
何が何でも手に入れたいという心理的反発が生じる。特殊なフェチを持っている人に大しては
このあまのじゃく的な心理テクニックが効果抜群に作用することがある。
嫌いという強制から自由になるために無理やりにでも意地でも好きにならせてやろうという
どこか男らしいような情熱が沸き起こるようだ。
ただしこれらは少数派であって、大多数は好きと言われれば好きになり。
キモイと言われれば嫌いになってしまうだろう。
力加減の問題でもあるような感じではある。