人の心理状態を読み取るには全身を観察すると理解できる。 受験生の面接試験、会社員の新入社員就職面接を 見ると色々な若者が集まる。 志望動機を尋ねると「えーっと」と 言って答えられないようなとんでもない受験生もいるが、 それでも面白い。 面接試験では、面接を受ける人は椅子に座り、面接官は かなりの距離を置いた位置に座って面接を行う。 大学の入学試験でも企業の入社試験でも同様だろう。 この形は面接官にとって印象や雰囲気がわかりやすく有利である。 面接では、受け答えの内容が最も重視されるが、 それだけなら、それほど距離をとる必要もない。 近いほうが声も聞きやすいし、表情も良くわかる。 わざわざ少し離れた位置に座るのは、受験者の姿勢、 しぐさ、態度や身振り、手や足の動きを視野に入れるためだ。 人を判断するには言葉以外の要素も見逃せないのである。 メーラビアンというアメリカの心理学者は、 話し相手がどんな人かを判断する手がかりとして、 顔の表情、言葉、声の三つをとりあげ、次のようにメラビアンの法則として公式化している。 知覚される態度(言葉)7%、音声38%、顔55%。 手がかりの比重としては、表情が割合として最も大きく、 次に音声、次に会話の内容の順とメラビアンの法則ではなっている。 言葉はほとんど役に立っていないということだ。 つまり人の印象は表情と声のトーンや張りで決まるのである。 人間の各動作を信頼できる順番にあげると、 自律神経信号、下肢信号、大幹信号、見分けられない手振り、 見分けられる手のジェスチャー、表情、言語、の順にランキング化されている。 人が自分で意識してコントロールしやすいのは言語や表情ということになる。 単純に言えば、言葉でごまかせても、足の動きでわかる ということだ。 少し解説を加えると、自律神経信号は、緊張すると動悸が激しくなったり汗をかくこと。 下肢信号は足の動き、意識されくくい箇所なだけに心理感情が出やすい。 体幹信号は体の姿勢、緊張や退屈の心理は、体の硬さやだらしなさとして表れる。 手や表情、言葉の表出は普段から気を使って取り繕っているため、 真実よりも嘘が出やすい。カモフラージュしやすいということだ。 男と女の心理状態や性格を見ようとする場合、言葉の内容や顔の表情だけに とらわれると、解読ミスを起こしやすい。それらを捨てて、 手や足の動きを見よう。全身をしっかり観察するのがベストである。 その意味では、面接を受ける人は、すっかり無防備な状態に置かれているといえる。 それが面接官の狙いなのである。 男と女の恋愛においても、嘘を見破る時は足や腰の動きを最も視線を注いで注意すべきである。 特に腰や足の位置が近い異性は、会話や表情がどうあれ、 恋愛対象として見られている可能性が高いのだ。