好きな人の話を異性の友人に相談しているうち、 本命の相手よりも、相談相手と付き合うことになってしまった、 という話はよく耳にしないだろうか。 これは恋愛心理学的には頻繁に起こりうる例だろう。 人は悩み事などを相談されると、その人に好意を持つ傾向がある。 面倒をみる、面倒をみられる、という関係は、どちらにとっても結構厄介な事である。 面倒をみる方には、手間や時間、労力などといったコストがかかる。 面倒を見られる方も、手助けしてくれることはありがたいと思っても、 相手に借りを感じたり、自尊心を失ったりとトータルでは精神的に重荷となる。 しかし、人は信頼していない人に頼みごとや悩み事を相談したりはしない。 相手を信頼しているからこそ、何かを依頼したり、相談したりする。 そうした暗黙の了解があるので、頼みごとをされたり、恋愛相談を された人は、それだけ自分が信頼され、信用されていると心理的に解釈する。 そして、自分を信用して頼みごとをしてきた相手に好意の心理感情を持つことになる。
人は頭の中でできるだけ思考と行動が矛盾しないようにバランスを保つ傾向がある。
これを心理学では「不協和の解消」
と呼ぶ。既に頼みごとや相談に乗っている場合は、相手に好意を
持っていたから承諾したのだと考えた方が頭の中がすっきりする。
同時に面倒をみたことで、相手に好意を持ち好きになる。
「出来の悪い子ほど可愛い」と言われるのも、そうした心理によるものだ。
面倒をみる、相談事を聞いてあげる、ということは、
基本的には好意の上に成り立っているという認識が人間にはある。
誰かの面倒をみたとき、その人に好意を持っていると思わなければ、
心理的に辻褄が合わなくなり気持ち悪くなってしまう。
女性が一度男と肌を合わせると、今までの素っ気無い態度から
急に甘えるような態度に変化するのと似ている。
私が体を許した男だから、絶対大丈夫だし好きだ、と心理的に
不協和を解消しようとしてしまう。これは恋愛でダメ男やヒモ男に
ハマる母性本能が強い女性に多い思考パターンだ。
このように、世話を焼く、世話を焼かれるという関係は
相互好意の関係の上に成り立っている。相談事や頼みごとをして
面倒をみる、みられるという関係が形成されると、より親しくなっていくのだ。
迷惑をかけるのが嫌だから他人にお願いや頼みごとをしないという
頑固な性格タイプの人がいるが、適度に面倒をみられるように誘導した
方がお互いに好意を深めやすい。つまり、人からモテようと思うのなら、
面倒をかけない空気のような存在になるのではなく、
相手に面倒をみてもらうような、心理的身体的に負担のかかる人間の方が効果的に
モテることができるというこだ。
人は嫌いな人や苦手な人には頼みごとをしない、知らない街で
道に迷った時、人に聞くときも爽やかで優しそうな男女に道を訊ねる。
これは無意識のうちに好きか嫌いかを瞬時に判断してそうしているのだ。
モテたいと思うのなら相手に好意を持たれなければならない。
相手に頼みごとや恋愛相談に乗ってもらうなどの依頼をすれば、
話し相手になって悩みも解決できる上に、好意を持たれてモテる
要素にもなることから、まさに一石二鳥の心理効果があるだろう。
モテないと嘆いている男と女は人に寄りかかってみるのも一つの手だ。
人は案外、重い荷物を背負って歩くのが好きなのかもしれない。