すいませんよりありがとうでモテる

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以前、大学の先輩さんが、モテるかどうかの基準についてこんなことがあったんだけど、という話を始めた。 モテるかどうかの基準。 全人類にとって、いや全生物にとってこれほど関心をそそる話題もあるまい。 森羅万象の一大事、宇宙の謎である。 「そ、それはッッ…ついにモテるコツが分かったんですかッッ!?」 こぶしを握り締め絶問する。 「友達と話してたんだけど、何かをしてもらった時に『すいません。』と言うやつはモテなくて、『ありがとう。』と言える習慣がやつはモテるんじゃないかって…。」 そっ、そうだったのか。 そこで全てが分かれていたのか。 いや、そんなわけはない、そんな簡単なことで一体何が分かるというのか。 ていうかそんなことだったら誰も苦労はしないだろう。 がしかし、妙な説得力があるのもまた事実である。 皆さんも自分の言動を振り返ってみてほしい。 消しゴムを拾ってもらった時、鉛筆を貸してもらった時、それから、それから、えーっと、なんかその、なんか、電話に出てくれたとか、呼びかけを無視しないでくれたとか、なんだ、うん、それくらいしか例が出ないがとにかく、親切にしてもらった時に、 「すいません。」 と言ってはこなかっただろうか。 自分はそっちの方が多い。 ヘコヘコしてしみったれた奴だ、と心理的に感じる。 確かに、 「ありがとう。」 とサラッと言える方がモテる秘訣な気がする。 その上爽やかで、気が利いて、二枚目で背も高くて頭も良くて思いやりがあってセンスとスタイルが良くて将来性があって貯金も年収もあるようなやつだったらもっとモテる気がする。 それ以来、何かをしてもらった時に、すいませんと言うか、ありがとうと言うかが妙に気にかかってしまって、 「すいま、あっ、ありがとう!」 などと言ってしまい、まずい、今の一言ですいませんと言いかけてからありがとうと言ったということがバレてしまい、こいつはモテないやつなのにモテようとしていて、馬脚を現したのも明らかなのになんとか誤魔化そうとしている、むしろ誤魔化せると思っているチンケでナメた野郎だということがさらに伝わったんじゃないかと思って冷や汗をかいた上に相手の様子を上目遣いでキョロキョロ伺ったりして、さらにダメな方へ突っ走ってしまう。 いつの日かサラッと、 「ありがとう。」 と言えるように日々精進していきたいのは山々だが、そんなこと考えてこんなこと書いてる時点でモテない気がしてならない。 こんなものを読んで心理的に感心している暇があったら英会話スクールやスポーツジムに通ったり、流行の雑誌を読んだりドラマを見たり、貯金をしたりした方がはるかに有意義だろう。 結局恋愛心理でモテる共通点は日々努力し精進するということ一点だろう。






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