「女、子供」という言葉はまさに心理学的なものである。
子供の「自己概念」がどれほど発達しているかをチェックするのに、
次のような方法がある。ここでいう「自己概念」とは、要するに
「自分とは何か」ということをどのように定義するかということである。
心理実験の方法はいたって簡単で、「君の友達の○○ちゃんて、どんな子?」
と訊ねるというもの。つまり、友達をどう定義するかで、その子の「自己概念」
がどの程度発達しているかを観察するというわけだ。すると、
幼稚園児くらいの子供の場合は、「○○を持っている子」という答え方が最も多い。
「○○」は、オモチャだったり、ゲーム機だったりするが、どんなモノを所有しているかということが、
低年齢では友達を認識する方法というわけである。ということは、自分自身も持ち物によって認識していることになる。
大人になると、恋愛で誰々と付き合っているとかいうのをやたらと気にする人がいる。
そのような人は付き合っている彼氏や彼女にステータスを感じる性質を持っているのだ。
以下、自己概念の発達が進んでいく順を大まかに並べると、
「○○ができる子」→能力による認識
「パパが○○をしている子」→家族構成による認識
「おとなしい子」→性格、しぐさや態度による認識(精神的属性)
という風に成長するごとに相手を定義づけ認識する概念が複雑になっていく。
心の成熟に伴って「自分が何か」を認識するのに用いる要素がモノからより高度な属性に移行していくわけである。
大人を対象としたもにのにも「20答法」と呼ばれる心理テストがある。
「あなたは?」という質問にアちして、20通りの答えをさせる。
最初は、「私は男性だ、女性だ」などの、単純な答えが多い。確認可能な回答というが、
後になるにしたがって、「私は臆病だ」「私は嫌われている」「恋愛がうまくいかない」「モテない」など、客観的には
認識不可能な精神的属性に関する答えになる。そして、このような高次で確認不可能な自己概念が20通りの答えのうち、
早く表れた人ほど、人格が成熟していると判断するわけである。
長々と自己概念について述べてきたが、 「ブランド物が好きな女性」というのは、この自己概念の発達が遅れているのではと考えられている。 「今頃、ヴィトンのバッグを持ってる人なんて、ありきたりよ」「今度ハワイに行ったら、あの子とは違うティファニー の指輪を買おう」という具合に、最近の若い女性は、まるで張り合うようにブランド物を身に着けている。 しかし、これはファミコンゲーム集めに夢中になり、どれだけ珍品をコレクションしているかを競う 子供に似たようなものだと言っては、あんまりかもしれないが、そう考えられる。 独自性欲求という「私はどれほどユニークでありたいか」ということをテーマにした研究でも、 女心は「人よりいいモノを持つ」ことが独自性だと思っている人が多い。 これに対して、男心は、「人よりいい仕事をする」ことで、独自性を発揮したいと思っている人が多いなど、 顕著な男女差があるという結果が得られている。 こういうと、ほとんど「女性は子供と同じだ」ということになってしまうが、 男性にもカーマニアやオーディオマニアのような、モノマニアック「モノ偏執症」な人がいることは事実。 低次元の自己概念というのは、確かに安定はしているわけで、男女を問わず、 それが精神的な安定をもたらしてくれることもある。 ただ、全体的に、女性の心理にそういう傾向が強いことは、心理学の研究では確かであり、 それは、女性の自己概念の「幼さ」が反映したもののように思える。 女性は情報に対して受け身で、メディアやドラマに影響されやすい。 また、友達からの噂話や自慢話にも影響を受けて流されやすい。 友達の一人が彼氏ができると、「私も彼氏を作らないと」と考えてしまうのが 女心にある性質なのだ。