バレンタインデーというのは、今やお菓子業界にとっては、一年で最大の 書き入れ時だという。 とくにプレゼントの主役をつとめるチョコレートになると、この一日で 一年の半分の売上があるという話である。 日本の女性には、それほど愛を告白しなければならない男性がいたのかと 、思わず嬉しくなってしまうが、現実はそんなに甘いものではない。 本命のモテる男や好きな彼氏に贈る物とは違う義理チョコの存在があるのだ。 この義理チョコ、一説によれば、本命の相手に贈るチョコの5倍は あるという話である。また、最近流行なものに同性の友達にあげる友チョコというのも この流れに拍車をかけている。 本命というのは多くの場合、一人だろうから、義理チョコの方が多くなるのは当然の 事だが、そんなことは百も承知でも、女性からチョコを貰うと男心は喜んでしまう。 特に、中年以降のおじ様系統には、その心理的効果は絶大だそうだ。 しかし、これも「社会的比較」の心理を考えればよくわかる。 おじ様としては、自分が若い人からどう見られて評価されているかは、 大いに気になるところだ。 人は誰だって人から好かれているのか嫌われているのか不安で心配になりながら生きている。 だから、好意の気持ちをストレートに表現してくれる人には安心感や親近感を抱くのだ。 人望、人気、指導力など、おじ様としては、他の同年代の 男たちよりも、少しでも自分が若い人たちから好意を持たれたい、 支持されたいと思うのは当然である。 つまり、いくつチョコを貰ったかで、自分の社内における偏差値がたちどころに わかってしまうというわけである。 チョコの数と言うきわめて具体的な数字によってモテるか モテないかの自分の偏差値がわかってしまうというのは、ある意味では残酷ではあるが、 反面いさぎよいとは言える。 そこで、おじ様続としては、その数に一喜一憂することになるわけだが、 これは非常に健全な証拠だろう。むしろ そんなチョコなどで自分の評価が決まってたまるか、と思っている人の方が 少し頑固な思想の持ち主ではないか。こうした人は「社会的比較」 という人間の自然な感情を持ち合わせていないか、それとも 若い女性をハナから馬鹿にして見下しているかのどちらかだろう。 いずれにせよ、こうした人の将来は、足元をすくわれる可能性が高い。 義理チョコは中高年だけでなく、若い男性陣も当然気にしている。 学校では、男子同士でチョコを何個貰っただとかで競い合って話が盛り上る。 女性は男性へ向けてのサービスの一環だと思って、チョコを配るようにあげてしまおう。 そうすれば恋愛関係に発展する可能性もあるし、友達としての付き合いが進展したり 好意をもらえるしで、お得なことばかりだ。人間関係は良好にしておいて損なことはないだろう。 チョコを貰いたいという男心を理解してあげて女心の優しさや慈愛の精神でもって 対応してあげよう。